K's SELF
'井川慶'本人からのメッセージをお伝えします。

2018/9/10

1打席限定の登板

3月にプロ野球OBオールスターゲームで登板後も、
トレーニングをずっと続けてきました。
ウェートやランニング、それにキャッチボールと、
いつものシーズン中と変わりなく、しっかり体を動かしています。

そんな中、独立リーグ、ベースボール・ファースト・リーグのご厚意で、
リーグ選抜と台湾の社会人チーム、台中市台湾人寿成棒隊の交流戦に、
エキジビションとして、台湾球界屈指の強打者・張泰山選手との、
1打席限定の「レジェンド対決」という企画で登板させていただきました。

約1カ月前からオファーをいただいていて、
台湾との親善や、ご来場の観客に喜んでいただけるならと、
快諾させていただきました。
そして自分自身にとっても、打者相手に投げられる機会は少ないので、
この日を目標にトレーニングに励んできました。

しかし、1週間前には沖縄での家族旅行をすでに計画しており、
万全に調整できたかといえばそうではなかったのですが、
ブルペンはぶっつけ本番で臨み、どんな投球ができるのか、
自分でもわからないところがありました。

勝負はすべて直球と相手に伝えてあったため、
きっと少ない球数で決着がつくだろうと予想していました。
予想通り、結果的に2球目を相手が打ってくれました。
ライト線ファウルになるかと思った打球は、意外にも伸びて、
ライトオーバーの二塁打という結果でした。

思ったところにコントロールできましたし、
打たれた外角への真っ直ぐもまずまずの球でした。
腕をしっかり振れて、球速139キロだったらしく、
しっかり球に力を伝えることができていました。

やはり長年投手をやってきただけあって、
体に染みついた技術は、そう簡単には忘れてしまわないということを、
今回は再確認できました。もっとしっかり調整ができれば、
体が調子がいいだけに、さらにいい投球ができるとも思いました。

試合後、新聞記者の方に今後のことを問われたので、
引退って言わなくてもいいんじゃないですか、と答えておきました。
本心からそう思っています。
プロ野球で1人くらい、引退宣言をせずに、体が動く限り、
トレーニングやキャッチボールを続けている選手がいてもいいのではないかと、
自分では思っています。

やはりユニフォームを着てマウンドで投げられたのは気持ちよかったです。
7月13日で39歳の誕生日を迎えました。
40歳になっても自分の投球ができるかはわかりませんが、
体をしっかり鍛えて、呼ばれたときにはまたマウンドに立てるように、
頑張ってみたいと思っています。